日本のトップ進学校に通う受験生が、オックスフォードのFees & Fundingの料金計算ページを開くと、一つの大学なのに5種類の学費が並んでいて戸惑う。Band A £33,050 でEnglish Literature、Band B £38,550 でComputer Science、Band C £44,240 でEngineering、Pre-clinical Medicine £48,620、Clinical Medicine 約£59,260。さらに別枠でCollege fee 約£9,530 - -ここでトップページには書かれていない疑問が湧く。なぜ一つの大学で学ぶのに、二つの異なる機関にお金を払うのか?
それはオックスフォードが**39のカレッジ+中央大学(central university)の連合体(federation)**であり、それぞれが独自の予算を持っているからだ。Tuition feeは大学へ、College feeはあなたの所属するカレッジ(Magdalen、Balliol、Christ Churchなど)へ。これが費用計算の前に理解すべき第一のポイントだ。オックスフォードでは一度ではなく二度払う - -そして奨学金によっては、このうち一方しかカバーしないものもある。
以下では、Brexit後に留学生(international)として扱われる日本からの受験生にとって、オックスフォード留学の実際のコストを要素ごとに分解する。Band別の学費、College fee、オックスフォードでの生活費、奨学金(Reach・Crankstart・Clarendon・JASSO)、GBP/JPYのレート換算、そして「定価」と「奨学金後の実質コスト」の差まで。出願全体のガイドはオックスフォード留学の総合ガイド(pillar)にまとめてある。
オックスフォードの学費は2025/2026年度で正確にいくら?
短い答え:専攻によって年£33,050から£59,260まで。オックスフォードはすべての学部(undergraduate)専攻を5つの価格帯(Band)に分類しており、これは実際の教育コストを反映している - -実験室の授業や高価な設備が多いほど、学費は高くなる。
2025/2026年度の留学生(つまりBrexit後の日本人)向けの内訳は次の通りだ。
| Band | 学費 2025/2026 | 主な専攻 |
|---|---|---|
| Band A | £33,050 | Classics, English Language and Literature, History, Law, PPE, Theology, Modern Languages, Philosophy, Economics & Management |
| Band B | £38,550 | Mathematics, Computer Science, Geography, Music, Materials Science |
| Band C | £44,240 | Biology, Chemistry, Earth Sciences, Engineering Science, Physics, Biochemistry |
| Pre-clinical Medicine(1〜3年目) | £48,620 | Medicine(pre-clinical段階) |
| Clinical Medicine(4〜6年目) | £59,260 | Medicine(clinical段階) |
実際のところ、これは何を意味するのか? 日本人受験生の間でも人気の高いPPE(Politics, Philosophy, Economics)に出願するなら、学費は年£33,050。学部3年間で学費だけで£99,150。レート約200円/GBPで換算すると、授業料だけで約2,000万円。Engineering Science(Band C、4年制MEng)は4 × £44,240 = £176,960、つまり約3,540万円。6年制のMedicine(3 × £48,620 + 3 × £59,260)は£323,640 = 学費だけで6,470万円超になる。
これらの数字にはまだCollege feeも生活費も含まれていない。学費は土台であって、請求書の全部ではない。
College feeとは何か、なぜ二度払うのか?
オックスフォードはカレッジ制大学(collegiate university)だ。39の自律的なカレッジ(Magdalen、Balliol、Christ Church、New College、Mertonなど)と、講義・最終試験・学部運営を担う中央大学(central university)の連合体である。すべての学生は在学期間を通じて一つのカレッジに所属する。あなたのカレッジは寮、ダイニングホール、図書館、コモンルーム、そして決定的に重要なチュートリアル - -チューターとの1対1または1対2の授業 - -を提供する。
予算の観点では、これは二つの異なる機関に支払うことを意味する。
- Tuition fee → University of Oxford(中央で管理)
- College fee → 所属カレッジ(別予算、法的にも別機関)
2025/2026年度の留学生向けCollege feeは年間約**£9,530**。カレッジの図書館、チューターへのアクセス、コモンルーム、庭園、礼拝堂、事務の利用をカバーする。寮や食事は含まれない - -これらは生活費として別に計算する。
なぜこれが予算上で重要なのか? 多くの奨学金はtuition feeしかカバーせず、College feeはあなたの自己負担として残るからだ。カレッジ独自の小規模な奨学金は、tuition feeの一部しかカバーしないことも多い。奨学金を資金計画に組み込む前に、その奨学金が「何を」カバーするのかを必ず正確に読むこと。日本人受験生の場合、後述のとおりReach Oxfordという全額型の選択肢が使えないため、College feeをどう賄うかは特に丁寧に詰める必要がある。
オックスフォードの生活費はいくら - -寮・食事・教科書?
オックスフォードの2025/2026年度の公式最低額は、likely(標準)で**£14,935**、upper(上振れ)で**£17,380**。これらの金額はox.ac.uk/feesandfundingのLiving Costsセクションで確認できる。現実的な内訳は次の通りだ。
カレッジ寮はあなたの財政上の味方だ。ほとんどのカレッジが1年目の入寮を保証し、多く(Magdalen、Christ Church、Merton、St John’s)は学部3年間を通じて保証する。カレッジの個室は週£150〜£200(通常は30週の学期契約 - -オックスフォードには8週間のtermが3つあり、加えて指導期間がある)。
オックスフォードの民間賃貸市場は容赦ない。North OxfordやCowleyのシェアハウスの個室は月£700〜£900プラス光熱費だ。2年目・3年目に「out of college(寮の外)」へ引っ越す学生は、カレッジ寮に残った場合より20〜30%多く払うことが多い。
教科書・教材は年約£600〜£800 - -オックスフォードは世界最大級の学術図書館群(Bodleian+各カレッジ図書館)を持つため、自分で買わなければならないものは少ない。交通費:自転車£150〜£300(オックスフォードでは皆が自転車に乗る)、ロンドンまでの電車£25〜£40、ロンドン〜東京・大阪の往復航空券は時期により£500〜£900程度。為替と燃油サーチャージ次第で大きく振れるため、長期休みの帰省回数も予算に組み込んでおきたい。
日本人にとっての主な資金源 - -JASSO海外留学支援制度とカレッジ奨学金
ここで最も重要な訂正をしておく。海外の英語圏向けガイドや、SNSでよく見る「Reach Oxford Scholarshipを狙え」というアドバイスは、日本国籍の受験生には当てはまらない。
Reach Oxford Scholarshipは、OECDの開発援助委員会(DAC)から政府開発援助(ODA)を受ける途上国の学生のみが対象だ。日本は先進国でありODAの「受け取り側」ではないため、対象国リストに含まれていない。したがって日本のパスポートではReach Oxfordには応募できない。これは海外のテンプレートをそのままコピーした日本語の留学情報でよくある誤りなので、最初にはっきりさせておきたい。
では、日本人受験生のオックスフォード資金はどう組み立てるのか。学部留学で最大の給付型資金源は**JASSO海外留学支援制度(学部学位取得型)**だ。カバーするのは次の通り。
- 月額13万9,000円〜35万2,000円(留学先の国・地域により異なり、英国は高めの区分)の支給
- 学士の学位が取れる海外大学なら、英語圏に限らず利用可能
- 最長4年間の支給(オックスフォードの学部期間をほぼカバーできる)
やるべきこと。
- オックスフォードに10月15日までに出願する(UCAS+出願書類)。
- JASSO海外留学支援制度に応募する。例年9月〜10月初旬が応募期間で、事前エントリーは9月下旬。オックスフォードの出願と並行して準備する。所属高校の推薦書類、成績証明、語学証明、世帯の家計状況書類が必要になる。
- オックスフォードから条件付きオファーを受け取る(通常1〜2月)。
- オファーの条件を満たす(多くはA-LevelでAAA、IBで39点以上。大学入学共通テスト+各大学の二次試験を主軸に学んできた日本の受験生は、A-LevelまたはIBへの橋渡し、もしくは追加要件の充足が必要になる場合がある)。
JASSO海外留学支援制度(学部学位取得型)は、トビタテ!留学JAPAN(文部科学省・JASSOの官民協働プログラム)の枠組みの中で運営されている。英語圏の最難関校に挑む日本人の定番ルートだが、それだけに頼って家計の予算を組むべきではない。カレッジ独自の奨学金(各カレッジが固有の奨学金予算を持つ - -個別に確認する)と、海外学位取得を支援する民間財団(給付内容・対象は財団ごとに大きく異なるため必ず一次情報で確認する)を並行して出願すること。複数の資金源を重ねて初めて、年£55,000超という現実的な負担に手が届く。
国内のトップ進学校で全国レベルの実績 - -たとえば日本数学オリンピック(JMO)の予選通過や物理チャレンジの上位入賞 - -を持つ受験生は、これらの選考でも強い武器になる。
日本人はCrankstartやClarendonの対象になるか?
短い答え:Crankstart - -不可、Clarendon - -大学院のみ。
Crankstart Scholarship(旧Moritz-Heyman)は、Home fee statusの資格を持つUKの学生で、世帯年収が£32,500を超えない者向けの奨学金だ。学費と学修コストの差額+年£6,000のグラントをカバーする。Brexit後の日本人はHome studentとして資格を満たさないため、Crankstartは日本からの出願者には手が届かない。これも、eligibilityを確認せずに奨学金リストをコピーする留学情報でよく起こる誤りだ。
Clarendon Fundはオックスフォードの旗艦プログラムだが、大学院レベル(master、MPhil、DPhil/PhD)のみが対象で、学部は含まれない。tuition fee、College feeの全額と、生活費グラント年約£18,600(約372万円)をカバーする。オックスフォードの全大学院出願者から年約230件を給付。大学院プログラムへの出願をもとに自動的に審査され、別途の申請書はない。
もしあなたの戦略が「日本で学部(東京大学・京都大学などの国立大学は学費が年約53.6万円と安い)→ オックスフォードで修士・博士をClarendonで」なら、これは現実的な資金計画だ。多くの日本人研究者がこのルートを通ってきた - -修士または博士課程をClarendonやRhodesで賄う。
大学院でのもう一つの選択肢がRhodes Scholarship - -1902年創設、世界で最も古く権威ある奨学金の一つだ。学費、College fee、生活費グラントの全額をカバーする。日本はRhodesの選考区分(constituency)の一つを持っており、日本国籍の出願者も応募できる。毎年世界全体で約100件を給付している。Rhodesは大学院レベルの選考であり、学部段階の資金源ではない点に注意。
定価 vs 実質コスト - -奨学金後にいくら払うのか?
これがこの記事で最も重要な表だ。オックスフォードの料金表の定価が一つの話、そしてすべての奨学金を経て実際に家計から出ていく額は、しばしばまったく別の数字になる。
| 学生のプロフィール | 定価(年間) | 奨学金後の実質コスト |
|---|---|---|
| Band A・奨学金なし(PPE, History, Law) | £33,050 + £9,530 + £15,000 = £57,580(約1,150万円) | 変化なし - -全額 |
| Band C・奨学金なし(Engineering, Physics) | £44,240 + £9,530 + £15,000 = £68,770(約1,375万円) | 変化なし - -全額 |
| JASSO海外留学支援制度(英国区分・上限近く) | £57,580-£68,770 | 月35.2万円 × 12 ≈ £21,000相当が軽減 → 約£37,000-£48,000 |
| Band B + カレッジ奨学金£5,000 + JASSO(英国区分) | £53,080(約1,062万円) | 軽減後 約£40,000前後(約800万円) |
| Pre-clinical Medicine・奨学金なし | £48,620 + £9,530 + £15,000 = £73,150(約1,463万円) | 変化なし |
見ての通り、日本人受験生にとっては「全額をゼロにする」全額奨学金が存在しないのがオックスフォードの厳しい現実だ。Reach Oxfordが使えない以上、JASSO・トビタテ・カレッジ奨学金・民間財団を積み上げて負担を下げ、残りを家族の資金や教育ローンで賄う設計になる。だからこそ、出願を決めた直後にやるべきことは、JASSO海外留学支援制度の応募準備(9月〜10月初旬)を出願スケジュールと同時に走らせることだ。合否を待ってからでは間に合わない。
為替の落とし穴も忘れないこと。GBP/JPYは200円〜215円の幅で動いている。年£60,000の予算なら、1ポンドあたり10円の差は年間で約60万円になる。家族が3年分の支出を分散させるなら、全額を一度に両替するのではなく、有利なレートのタイミングで分割購入することを検討する価値がある。
比較として - -ケンブリッジや他のUK大学はいくら?
ケンブリッジはほぼ同じ価格構造だ。留学生のtuition feeは£30,000〜£67,000(専攻による。Triposの中でMedicineが最も高い)、College feeは年約£11,000〜£12,500(オックスフォードより高い)、ケンブリッジでの生活費は年約£13,500。つまりほぼ同水準で、専攻とカレッジ次第で年±£3,000の振れ幅。詳しい内訳はケンブリッジ留学の総合ガイド(pillar)にある。
UK留学費用の総合ガイドが示すように、オックスブリッジ以外にも最難関クラスでより安い選択肢がある。Imperial College London 年£39,000〜£52,000(College feeなし)、UCL £30,000〜£40,000、University of Edinburgh £26,000〜£35,000。Edinburghの人文系は、オックスフォードより年約£30,000安い。
オックスフォードの費用が手の届かない範囲なら、欧州大陸の大学も検討しよう。ETH Zurich(学期CHF 730 - -約13万円)、KU Leuven(年約EUR 1,100)、TU Delft、Sciences Po。いずれも世界トップ100に入る大学でありながら、家族に6桁ポンドの負担を求めない。
もう一点。オックスフォードはIvy Leagueの一員ではない。Ivy Leagueは米国東海岸の8大学を指す。オックスフォードはRussell Group - -英国の研究大学24校の連合 - -に属する英国の大学だ。「英国版Ivy League」という表現はメディアの便宜的な言い回しであって、学術的なカテゴリーではない。
日本の共通テスト・二次試験がオックスフォードの要件に直結しない場合はどうするか?
オックスフォードは日本の高校卒業資格を受け入れるが、専攻ごとに具体的な要件を課す。一般に、出願者にはA-LevelまたはIBに準じた学力の証明が求められ、PPEなら数学と人文系科目で高水準、Engineeringなら数学・物理・化学で非常に高い成績、Medicineなら生物・化学に加えて数学または物理が必要になる。日本の受験生の場合、大学入学共通テストと各大学の二次試験を中心に積み上げてきた学力をどうA-Level/IBの枠組みに翻訳して示すかが鍵になる。共通テストや二次試験の成績 → オックスフォードのrequirementsへの対応の詳細はpillarにまとめてある。
日本の評定平均や共通テストの得点は、英国のA-Level/IBシステムに1対1で換算されるわけではないが、オックスフォードはパーセンタイルと具体的な成績を見ており、単純な「GPA」だけを見ているのではない。自分の成績が国際的なスケールでどう見えるか、A-Level/IBのrequirementsと比べてどの位置にあるかを見積もりたいなら、GPA計算機を使うとよい。あなたの成績を4.0スケール換算し、合格者の典型的なレンジに入っているかを示してくれる。
出典と算出方法
- University of Oxford Fees & Funding 2025/2026 - ox.ac.uk/admissions/undergraduate/fees-and-funding(Band別学費、College fee、公式の生活費見積もり)。
- Reach Oxford Scholarship - ox.ac.uk/admissions/undergraduate/fees-and-funding/oxford-support/reach-oxford-scholarship(対象国はOECD DACのODA受給国に限られ、日本は対象外である点を確認)。
- Crankstart Scholarship - ox.ac.uk/admissions/undergraduate/fees-and-funding/oxford-support/crankstart-scholarship(UKのHome studentのみ対象である点を確認)。
- Clarendon Fund - ox.ac.uk/clarendon(大学院のみ、2025/2026年度の奨学金額)。
- JASSO 海外留学支援制度(学部学位取得型) - jasso.go.jp(日本人学生が海外大学で学士を取得する留学への給付型奨学金。月額・応募期間)。
- GBP/JPY 為替レート - 2026年の平均は約210〜212円/GBP。本記事では算出の簡便のため約200円/GBPで丸めている。予算計算の前に最新レートを必ず確認すること。
- 本記事のすべての金額は、オックスフォードの公式情報源または関連する資金提供機関に由来する。非公式のランキングやアグリゲーターの統計は引用していない。円表示は申告レートでの換算であり、読む時点で変動している可能性がある。
オックスフォードを検討しているなら、次のステップ:
- オックスフォード出願の総合ガイドを読む(UCAS、面接、admission tests、カレッジ選び)。
- ケンブリッジと費用を比較する - ケンブリッジ・ガイド。
- GPA計算機で、自分の成績がオックスフォードの要件に収まるか確認する。
- 海外留学の出願サポートについて読み、いつアドバイザーを検討すべきかを理解する。
- 9月〜10月初旬にJASSO海外留学支援制度(学部学位取得型)へ応募する - -これとカレッジ奨学金・民間財団がなければ、留学費用の全額が家計にのしかかる。