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パリ・シテ大学(Université Paris Cité)留学ガイド2026

ヨーロッパ留学

日本からパリ・シテ大学へ進学するには?学費を円換算で解説し、医学部・理系学部の実力、ParcoursupとMon Masterによる出願方法、フランス語か英語かの選択、奨学金までを網羅した完全ガイド。

セーヌ川沿いに広がるパリ・シテ大学グラン・ムーラン・キャンパス

Lead image: Wikimedia Commons

地下鉄のビブリオテーク・フランソワ・ミッテラン駅を降りてセーヌ川沿いを歩くと、かつて製粉工場だった**グラン・ムーラン(Grands Moulins de Paris)**の建物群にたどり着く。フランス政府がこの旧工場群を大学キャンパスへと転用したもので、片側には近代的なフランス国立図書館、もう片側には赤レンガと鉄骨がむき出しの産業建築、そしてその内部には医学、生物学、物理学、人文科学を学ぶ何千人もの学生たちがいる。ここはパリ左岸地区(Paris Rive Gauche)の中心であり、**パリ・シテ大学(Université Paris Cité)**の主要キャンパスのひとつだ。この大学は2019年に誕生したばかりだが、すでにヨーロッパ有数の生命医科学系総合大学としての地位を確立している。

日本の受験生にとって、パリ・シテ大学の特徴を一言で表す数字がある。それはQS 2026ランキングにおける研究被引用スコア100点満点中92.5点だ(topuniversities.com)。これは世界トップクラスの水準であり、この大学に入れば本物の最先端研究の現場に触れられるということを意味する。QS 2026の総合ランキングでは世界300位にとどまるが、これは大学の規模や知名度が強く反映される総合指標のクセによるもので、研究の質そのものを測る上海ランキング(ARWU 2024)では世界60位、US News Best Global Universities 2025では47位まで上がる(usnews.com)。では学費はどうか。パリ・シテ大学は非EU圏出身の留学生に対しても部分的な学費免除を独自に行っており、対象になれば学部(licence)の登録料は年間178ユーロ、日本円でおよそ3万3,100円で済む。これはタイプミスではなく、フランス公立大学モデルそのものが生む結果だ。

ただし、最初に理解しておくべき重要なことがある。学部レベルのパリ・シテ大学はフランス語で学ぶ大学だという点だ。本格的な英語開講プログラムが揃うのは修士・博士課程からになる。このガイドではそれを一つひとつ分解していく。日本からどうやって出願するのか、日本円換算での実際のコストはいくらか、フランス語の学部と英語の修士の境目はどこにあるのか、本当に世界クラスの学部はどこか、そして日本の高校の成績で現実的に狙えるのかどうか。パリの他の選択肢、たとえばソルボンヌ大学とPSLパリ第1パンテオン=ソルボンヌ大学パリ・サクレー大学と比較検討しているなら、この記事が全体像をつかむ助けになるはずだ。

パリ・シテ大学: 2025/2026年度の主要データ
92.5
研究被引用スコア(QS)
QS World 2026、100点満点中
#60
上海ランキング
ARWU 2024(フランス国内4位)
178ユーロ/年
学部の登録料
国内料金、約3万3,100円
約6万3,000
学生数
フランス最大級の総合大学のひとつ
約22%
留学生の割合
修士・博士課程で特に高い比率
2019
設立年
パリ・デカルト大学とパリ・ディドロ大学の統合により誕生
出典: QS World University Rankings 2026、ARWU 2024、Times Higher Education 2026、パリ・シテ大学公式データ(2025/2026年度)

パリ・シテ大学とは何か - なぜ注目に値するのか

まずは大学のアイデンティティから整理しよう。ここは混同しやすいポイントだ。パリ・シテ大学はソルボンヌではない。この大学は2019年に、パリの二つの大規模総合大学、すなわちパリ・デカルト大学(旧パリ第5大学、医学と法学に強い)とパリ・ディドロ大学(旧パリ第7大学、理系と人文科学に強い)が、パリ地球物理学研究所とともに統合して誕生した。設立から最初の3年間は『Université de Paris』を名乗っていたが、『de Paris』という名称そのものをめぐる法的な争いを経て、2022年に現在の『パリ・シテ』という名称に改めた。法人としては非常に若い大学だが、そのルーツはヨーロッパ最古級の中世パリ大学にまで遡る。

これは実務的に何を意味するのか。パリ・シテ大学は総合大学でありながら、生命医科学と理系分野に明確に重心を置いた大学だ。組織構造としては保健学部(Santé)、理学部(Sciences)、人文社会科学部(Sociétés et Humanités)の3つの学部(faculté)からなり、その下に20以上の教育研究ユニット(UFR)がぶら下がる。さらに最高峰の提携機関としてパスツール研究所(Institut Pasteur)(世界屈指の生命医科学研究拠点のひとつ)、そして前述のパリ地球物理学研究所が加わる。大学はフランスの主要研究大学連合UDICE、そしてヨーロッパの大学アライアンス**Circle U.**にも参加している。

規模も圧倒的だ。公式データによれば、パリ・シテ大学は約6万3,000人の学生を抱え、4,600人の教員研究者が110以上の研究室で活動している(u-paris.fr)。Times Higher Educationの2026年版では学生数66,075人、世界第190位とされている(timeshighereducation.com)。両者の数字にズレがあるのは、学生数の集計範囲(コアの大学のみか、関連組織全体を含むか)という方法論の違いによるものだ。いずれにせよ、フランス最大級の大学のひとつであり、同時に研究ネットワークの面では最も国際化が進んだ大学のひとつでもある。

なぜこれが日本の受験生にとって重要なのか。それは、めったに両立しない3つの要素が揃っているからだ。世界トップクラスの研究、実質的にごく低い学費、そしてパリという都市そのもの。医学、生物学、薬学、物理学、数学を志すなら、そしてフランス語に尻込みしないなら、これほどコストパフォーマンスに優れた選択肢はヨーロッパでもなかなか見つからない。ブランド名だけで箔をつけたい人のための大学ではなく、本気で学問を深く掘り下げたい人のための大学だ。

日本の受験生にとって、パリ・シテ大学への出願はどう進むか?

フランスの出願制度は、アメリカのCommon AppやイギリスのUCASとはまったく違う発想で動いている。まずこれを理解する必要がある。大学全体としての単一の『合格率』は存在せず、自己PRエッセイもなければ、情熱について語る面接もない。ものを言うのは出願書類(dossier)—高校の成績、履修科目のプロファイル、そして志望プログラムごとの要件充足度だ。出願方法は学年レベルと国籍によって変わり、日本国籍の受験生は非EU圏の出願者として、EU/EEA圏の受験生とは異なる手続きを踏む必要がある。

学部1年目(L1)への出願は、EU/EEA圏の受験生ならParcoursup—フランス全土共通の学部出願ポータル—を直接使う。だが日本はEUに属さないため、Parcoursupでの出願に加えて、東京にあるCampus France Japon(キャンパスフランス日本支局。在日フランス大使館附属アンスティチュ・フランセ内、新宿区にオフィスを構える)を通じた『Études en France』という審査手続きを経る必要がある。この手続きでは志望動機や学習計画についての面談が課されることが一般的で、これに通過して初めてParcoursupでの正式な出願・選考に進める、という二段構えの仕組みだ。パリ・シテ大学の理系・人文系の学部プログラムの多くは『portails non sélectifs』と呼ばれる非選抜型で、科目要件と語学要件を満たしていれば現実的なチャンスがある。例外は医療系(PASS)と一部の選抜性の高いダブルディグリーで、これは後述する。

修士(M1)への出願はMon Masterという別のプラットフォームで行う(2026年サイクルはおおむね2月~3月に出願開始)。ここで初めて本格的な英語開講プログラムが開放され、日本人受験生の多くが実際にたどり着くのもこのレベルだ—典型的には日本国内の大学で学士号を取得したあとに出願するケースが多い。修士の選考は実質を伴うもので、学部時代の成績、志望プログラムとの適合性、そして志望理由書が重視される。

そしてここが最も大きな違いになる部分だ。EU/EEA圏外の出願者は**長期学生ビザ(visa long séjour、多くの場合VLS-TS=入国後に滞在許可証として機能するビザ)**の取得が必須になる。合格通知を受け取ったあと、フランス大使館(東京)またはCampus France Japonを通じてビザ申請の手続きに入り、必要書類(合格証明、資金証明、住居の見込みなど)を揃える必要がある。EU加盟国の受験生ならビザも在留資格の心配もいらないが、日本人受験生にとってはこのビザ取得プロセスそのものが出願スケジュールの重要な一部になる—余裕をもって、合格発表後すぐに動き出すことが欠かせない。

日本の受験生のための、パリ・シテ大学への2つのルート
選ぶべき道は、学年レベルとフランス語力によって変わる
ルートA - 学部(licence)
高校卒業後すぐに、Études en France+Parcoursupで
Campus France Japon経由の「Études en France」手続きを経たうえで、Parcoursupを通じて3年制の学部(licence)に出願する。要件はフランス語B2レベル(DELF/DALF)--講義はすべてフランス語で行われるため。出願は冬に開始し、合格発表は春。学生ビザの取得も並行して進める必要がある。すでにフランス語を学んでいるなら現実的な道。
フランス語(B2)+学生ビザ
ルートB - 修士(master)
日本国内で学士号取得後、Mon Master+学生ビザで
日本または英語圏の大学で学士号を取得したあと、Mon Masterプラットフォームを通じて英語開講の修士プログラムに出願する。学部段階のフランス語の壁を回避し、いきなり大学の研究の中核に入っていける。実力本位の選考。合格後は長期学生ビザの取得手続きが必要。
多くの場合は英語+学生ビザ
出典: Parcoursup、Mon Master、Campus France Japon - 2025/2026年度 非EU圏出願者向け手続き

実際のところ、パリ・シテ大学の学費は円換算でいくらか?

このセクションでは、フランスの公立大学モデルがまるで裏技のように見えてくる。パリ・シテ大学は国立大学であり、学費は法定額—大学ではなくフランスの高等教育・研究省が全国一律で定める金額であり、すべての国立大学で同一だ。2025/26年度の登録料(droits d’inscription)は学部で178ユーロ、修士で254ユーロ、博士で397ユーロ(service-public.gouv.fr)。これに加えて、学生生活とキャンパス環境を支えるCVEC(Contribution Vie Étudiante et Campus)という必須拠出金が年間105ユーロかかる(u-paris.fr)。

円に換算してみると、その安さの実感がわいてくる。1ユーロ=約186円(2026年半ばの実勢レート、後段の「出典と方法論」を参照)で計算すると、学部の登録料は年間およそ3万3,100円、修士でおよそ4万7,200円、CVECはおよそ1万9,500円。つまり学部1年目の総費用(登録料+CVEC)は年間わずか約5万2,600円程度で済む。比較として、ケンブリッジ大学インペリアル・カレッジ・ロンドンの留学生向け年間学費は数百万円規模になる。桁が違う。

ここで日本の受験生にとって最も重要な事実を押さえておこう。フランスの公立大学は2019年以降、EU/EEA圏外の学生に対して割増の『差別化登録料(droits différenciés)』を課すことが認められている(学部で2,770ユーロ=約51万5,000円、修士で3,770ユーロ=約70万1,000円)。日本はEUに属さないため、本来であればこの割増料金の対象になる。しかしパリ・シテ大学は独自の方針として、非EU圏の学生に対してこの差額分を部分的に免除する決定をしており、その結果、多くの非EU圏の学生もフランス人学生と同じ国内料金—学部178ユーロ、修士254ユーロ—で在籍できている(u-paris.fr)。すべての国立大学がこの免除方針を取っているわけではなく、大学ごとの判断であり、年度や制度改正によって条件が変わり得る点には注意してほしい。それでも、パリ・シテ大学がこの免除を行っているという事実そのものが、日本からこの大学を検討する大きな理由になる。出願時には必ず、自分に免除が適用されるかどうかを大学の窓口かCampus France Japonで確認しよう。

では負担の中心はどこにあるのか。パリの物価だ。これは正直に伝えておきたい。パリ首都圏における学生の現実的な月間予算は1,000~1,500ユーロ(約18万6,00027万9,000円)で、その大半を占めるのが住居費—部屋やワンルームの家賃は月6001,000ユーロ(約11万1,60018万6,000円)、これはエリアと、CROUS(フランス学生福祉機構)の学生寮に入れるか、それとも民間の賃貸市場を使うかによって変わる。食費は月250350ユーロ(約4万6,5006万5,100円。CROUSの学生食堂なら1食3.30ユーロ、約610円というのが目安)、公共交通は学生向け定期券Imagine Rで月約38ユーロ(約7,070円)、その他に携帯電話代や教材費、生活費がかかる。朗報もある。国立大学の学生であれば、フランスの住宅手当APL(CAFという公的機関が支給)を受けられる可能性があり、これで家賃が月100200ユーロ(約1万8,600~3万7,200円)下がることもある。この制度は国籍を問わず、正規に在留する学生であれば申請できる。

パリ・シテ大学 学生の年間予算(免除適用時の目安)
学部レベルの試算、1ユーロ=約186円で換算
登録料+CVEC(年間)283ユーロ/約5万2,600円
学部178ユーロ+CVEC 105ユーロ - 全国立大学共通の法定額。パリ・シテ大学の非EU圏向け部分免除が適用された場合の金額
住居費(12か月)7,200~12,000ユーロ
パリ市内の部屋・ワンルーム(約133万9,000~223万2,000円)、住宅手当APL控除前(月-100~-200ユーロ)
食費(12か月)3,000~4,200ユーロ
約55万8,000~78万1,000円。CROUSの学生食堂なら1食3.30ユーロでこの負担を大きく圧縮できる
交通費・生活費(12か月)1,800~2,800ユーロ
約33万4,800~52万800円。Imagine R定期券は月約38ユーロ、ほかに携帯電話代、教材費、娯楽費
出典: パリ・シテ大学、service-public.gouv.fr(2025/26年度登録料)、CROUS、生活費はCollege Councilによる試算。学費は象徴的な金額であり、負担の中心はパリでの生活費にある。

本当に世界クラスと言えるのはどの学部・学科か?

パリ・シテ大学は総合大学だが、本当の強みは医学、生命科学、そして理学系にある。これは単なるマーケティング文句ではなく、QS 2026の分野別ランキングに明確に表れている数字だ。そして、この数字こそが—ブランド名ではなく—進路選択の判断材料になるべきだ。

医学と生命科学は大学の看板分野だ。QS 2026ランキングでパリ・シテ大学はLife Sciences & Medicine(広義のカテゴリ)で世界**#76**、医学単体でも**#80**に位置している(topuniversities.com)。これこそが、医学・生命科学分野で本当にヨーロッパのトップクラスにいるという証だ—フランス屈指の名門医科大学だったパリ・デカルト大学の伝統に、パスツール研究所という隣人が加わって強化されている。関連分野もワンランク下がるとはいえ、依然として強力だ。薬学(Pharmacy & Pharmacology)は101-150位、歯学(Dentistry)は51-150位のレンジに入る。医学部PASSの出願の特殊性については後段で改めて扱う、最も難易度の高いルートだからだ。

数学と理学系はもう一つの大きな強みだ。パリ・シテ大学の数学はQS 2026で世界**#65**、物理学・天文学は151-200位のレンジ、そしてパリ地球物理学研究所の存在感もあって地球物理学は51-100位のレンジに入る。言語学は**#75と高く、生物科学は#131**。つまりこの大学は、人文科学や社会科学よりも理系・自然科学系のほうが明確に強いという構造になっており、専攻を決めるうえで知っておく価値がある。

パリ・シテ大学のカタログには約580のプログラムがあり、その大半は修士レベルだ。学部段階では、関連分野をまとめた『portails(ポータル)』という括りが主流で、生命科学(Sciences de la vie)、化学(Chimie)、情報科学(Informatique)、心理学(Psychologie)、法学(Droit)、歴史学(Histoire)、経済経営学(Économie et gestion)などがあり、数学×物理学や、生命医科学×心理学といった複合学位もある。生物学、化学、物理学、情報科学、心理学に関心がある日本の受験生にとっては、フランス語さえクリアできれば選択肢は豊富だ。

はっきり言っておきたい—これは何人もの受験生がつまずくのを見てきたからだ。**社会科学やビジネスを、大学名のブランド力だけで選ぶならパリ・シテ大学は向いていない。**社会科学分野ではQS上位100位にはるかに及ばず、ビジネスや政治学であればサイエンス・ポHECパリESSECといったパリの他の名門校のほうが適している。パリ・シテ大学は医学、生物学、物理学、数学を志す人のための大学であり、そこでこそ本物の世界クラスの実力を発揮する。

学部はフランス語、修士は英語 - どちらを選ぶべきか?

この問いへの答えが、パリ・シテ大学があなたに向いているかどうか、そしていつ挑戦すべきかを実質的に決める。まずはプログラム一覧の数字から見ていこう。大学のカタログには約580の専攻があるが、言語別の分布は非常に偏っている。圧倒的多数、約520プログラムがフランス語のみで開講され、数十がすべて英語、数十がバイリンガル(仏英併用)だ。重要なのは、英語開講プログラムが修士レベルに集中しているという点—学部段階では、実質的に英語だけで学位を取ることはできない。これは偶然ではなく構造の問題だ。フランスの研究大学は、修士・博士課程になって初めて臨界質量と国際化を築くというモデルを取っている。

これは具体的に何を意味するか。合理的な選択肢は2つある。

**シナリオA:高校卒業後すぐに学部へ。**Campus France JaponのÉtudes en France手続きを経て、Parcoursupを通じてフランス語開講の学部(たとえば生命科学、化学、情報科学)に出願する。条件はフランス語B2レベル—すでにフランス語を学んでいるか、入学前の1年間を集中コースとDELF/DALF取得に充てる覚悟がある人向けの道だ。メリットは、ヨーロッパ屈指の生命医科学・理系拠点で丸3年間、しかもパリで、象徴的な登録料だけで過ごせること。デメリットは、フランス語の壁が現実的なものであり、入学前にクリアしておく必要があること。

**シナリオB:日本で学士号を取得したあとに、英語の修士へ。**日本国内(あるいは英語圏)の大学で学士号を取得したあと、Mon Masterを通じてパリ・シテ大学の英語開講修士に出願する。メリットは、序盤のフランス語の壁を回避でき、いきなり大学の研究の中核に入っていけること、そして最も強い分野(生命科学、物理学、数学)にアクセスできること。率直に言って、これが日本の受験生にとって最も一般的で、抵抗の少ない道だ。デメリットは、トップクラスの英語開講修士の選考は実力本位で相応に狭き門になり得ること—学部時代の成績とプログラムとの適合性が問われる。

我々がこれまでサポートしてきたアジア圏の出願者の傾向を見ても、明確なパターンがある。パリ・シテ大学にたどり着く受験生の多くはシナリオBを歩んでいる—つまり、本国でよい学士号(生物学、化学、物理学など)を取ったあとに、英語開講の修士に進む形だ。シナリオA(高校卒業後すぐにフランス語で学部へ)を選ぶのは、フランス語を高校時代から本格的に学んでいた、あるいはバイリンガル教育を受けていたごく一部の受験生にほぼ限られる。これは理論ではなく実際の分布であり、自分の計画を立てるうえで知っておく価値がある。

長年にわたりヨーロッパの大学への出願を支援してきた経験から言えることがある。もしあなたが高校生で、すでにフランスと医学・生物学志望が固まっているなら、まずフランス語から始めて学部を狙うのが近道だ。もしフランス語がまだ遠い存在で、物理学や数学に情熱があるなら、パリ・シテ大学を修士レベルの目標として設定し、日本国内で強い学士号を積み上げるのがよい。どちらの道も同じ学位にたどり着くが、時間軸の設計はまったく異なる。

どちらのシナリオを選んでも、避けて通れないのが語学試験だ。フランス語ルートならDELF/DALF、英語開講の修士ならTOEFL/IELTSが必要になる。英語トラックを目指すなら、**College Council TOEFLアプリ**でAIフィードバック付きの模擬試験に取り組んでほしい。試験形式の詳細はTOEFL 2026完全ガイドに、資格選びはTOEFL vs IELTS比較にまとめている。

フランス語ルートを選ぶなら、DELF/DALF B2は、共通テストや二次試験の対策と同じくらい本気で、1~2年かけて計画すべき独立したプロジェクトだと考えてほしい。B2は、学術的な文章を苦労なく読み、筋の通った論述を書き、口頭で自分の主張を守れるレベルであり、単に日常会話ができるレベルではない。すでに高校でフランス語を学んでいる人はこのレベルに近いが、ゼロから始める人は数百時間規模の学習が必要になる。DELF B2試験はアンスティチュ・フランセ(在日フランス大使館附属の文化機関)が日本国内でも実施しており、資格に有効期限はないため、余裕を持って早めに取得しておく価値がある。

パリ・シテ大学の医学部(PASS)合格はどれほど難しいか?

ここは独立したセクションを設ける価値がある。フランスの医学教育はまったく別のルールで動いており、「フランスの国立大学は手が届く」という原則の例外になるからだ。医学部1年目はPASS(Parcours d’Accès Spécifique Santé)と呼ばれ、他の学部と同じくParcoursupを通じて出願する。違いは選抜方法にある—2年目に進める人数は地域ごとに設定されたnumerus apertus(定員)によって厳しく制限されており、競争は容赦がない。

規模がすべてを物語る。募集データによれば、パリ・シテ大学のPASSの各専攻には数万人規模の出願者が殺到し、用意されている座席は数百人程度にとどまる。フランス全土でも最も競争率の高いコースのひとつだ。1年目で通過できなかった学生の一部は、LAS(Licence avec option Accès Santé)というルートに進む—通常の学部に保健系のモジュールを組み込んだコースで、医学部への再挑戦の機会になる。このシステムを乗り切るには鉄壁の自己管理と、非常に高いフランス語力が必要だ。授業も試験もすべてフランス語で行われるからだ。

日本の高校の成績で、フランスの医学部を目指すことは可能か。答えはイエスだが、現実的な計画が要る。まず、フランス語C1レベルが事実上必須になる。医学部1年目の極めて密度の高い授業に、外国語でついていくというのは非常に高いハードルだからだ。次に、フランスの中等教育を経ていない海外からの出願者がPASSに直接出願するケースは実際にはかなり限定的で、多くの場合はCampus France Japon経由の「Études en France」を通した出願となり、大学によっては国際生向けの受け入れ枠自体が小さいこともある。生物・化学・物理を重点的に学んできた強い成績が出願書類の土台になる。最後に、これはマラソンであり、1年目だけで多くの学生がふるい落とされる現実を理解しておく必要がある。それでも、覚悟のある人にとっては、ヨーロッパ屈指の医学研究拠点で、私立医大の学費のごく一部で医師免許を取得できる、現実的な道である。

フランス語にこだわらず、海外の医学部進学全般を検討しているなら、海外医学部留学 完全ガイドもあわせて読んでほしい。フランスのPASSから、英語で学べるヨーロッパの医学コース、イギリス式、アメリカ式まで、さまざまな制度を整理しており、フランスの医学ルートが自分のプロファイルと語学力に合っているかどうかを判断する助けになるはずだ。

パリ・シテ大学が提供する奨学金と経済支援にはどのようなものがあるか?

学費が象徴的な金額である以上、奨学金の主な役割は物価の高いパリでの生活費をカバーすることにある—そしてパリ・シテ大学とフランス政府には、そのための強力な制度がいくつかある。最新の一覧は大学公式の奨学金ページで確認できる。

**エッフェル奨学金プログラム(Eiffel Excellence Scholarship Programme)**は最も権威ある制度で、フランス外務・欧州省が資金を出し、パリ・シテ大学を含む複数の大学がホストしている。対象は修士・博士課程の優秀な留学生で、選考は非常に厳しいが、生活費のかなりの部分をカバーする。実力のある英語開講修士の受験生にとっては、志望プログラムへの出願と並行して挑戦する価値のある現実的な目標だ。

SMARTS-UPは大学独自の制度で、研究系大学院プログラム(EUR - Écoles Universitaires de Recherche)の枠組みの中で、修士レベルの受け入れ留学生の移動を支援する。国際的な修士出願者—すなわち日本人の多くがたどり着くルート—のために設計されたツールだ。

これに加えて、国レベルの制度も活用できる。日本人学生は日本学生支援機構(JASSO)の海外留学支援制度を利用できる可能性がある。学位取得を目指す学部留学向けの給付型奨学金では、フランスが属する支給区分で月額およそ19万4,000円(渡航一時金1万円を含む)が支給され、他の奨学金との併用も認められている。大学間協定に基づく交換留学であれば、JASSOの協定派遣制度も対象になり得る。募集要項は例年7月下旬から8月上旬に公開され、出願締切は10月上旬が目安だ(最新情報は必ずJASSO公式サイトで確認してほしい)。またフランス政府自体も、JASSOの留学情報サイトで案内されているフランス政府奨学金など、独自の奨学金制度を持っている。大学院レベルの留学全般ではフルブライト奨学金プログラムのような二国間奨学金制度も選択肢として知られているが、これは主に米国への留学を対象とした制度であり、フランス留学には直接適用されない点に注意してほしい。最後に、フランスの学生福祉機構CROUSは、安価な学生寮、学生食堂、生活支援を提供しており、パリ首都圏での家計を支える重要な柱になる。ヨーロッパ留学全般での奨学金の選択肢は、ヨーロッパ留学の奨学金ガイドにまとめている。

パリ・シテ大学の学生生活とキャンパスは、パリでどのような環境か?

郊外の高原地帯に施設が分散しているパリ・サクレー大学とは対照的に、パリ・シテ大学はパリ市内そのものにあるキャンパスだ—複数のキャンパスが市内各所に散らばっており、主要な拠点はグラン・ムーラン地区とフランス国立図書館を囲む近代的なエリア、パリ・リヴ・ゴーシュ(13区)にある。その他にも、サン=ジェルマン=デ=プレ近くにある旧パリ・デカルト大学の歴史的建物群や、パリ市内の病院に隣接した医学系キャンパスが点在している。つまり一つのことがはっきりしている—世界屈指の都市そのものの中で学ぶということであり、その一方でアメリカ的な、一つの中庭を囲んだコンパクトなキャンパスは存在しない。

これがロケーションの最大の強みだ。パリに住み、パリで学ぶということは、美術館、劇場、コンサート、国際色豊かな環境、そしてヨーロッパ屈指の公共交通ネットワークが徒歩圏にあるということだ。地下鉄、RER(近郊高速鉄道)、バス、そして充実したレンタサイクル網Vélib’が各キャンパスと市内全域を結んでいる。この恩恵の裏側にあるのが物価の高さと、逼迫した住宅市場だ—これについては正直に、後段で扱う。

学生生活は各学部、学生団体(associations étudiantes)、大学主催のイベントを中心に回っている。国際色が最も強いのは修士・博士課程で、ここでは世界中から集まった学生に出会える—パリ・シテ大学がグローバルに学生を集めているレベルだからだ。学部段階ではフランス人学生が中心の環境になり、これがフランス語学習のさらなる動機づけにもなる。スポーツ、文化活動、学生支援はCROUSと大学組織を通じて運営されており、支払うことになるCVECは、まさにこのキャンパス生活の基盤を支える資金になっている。

そして、受験生が意外と見落としがちな、きわめて実務的な話をひとつ。住居探しは最優先で動くべきだ。パリでは、これが出願そのものよりも難しい要素になることがある。CROUSの学生寮は安いが、部屋数が少なく競争が激しいため、できるだけ早くアプリケーションを出し、それと並行して民間の賃貸市場も探しておくとよい—中心部から少し離れたエリアや、地下鉄でアクセスできる近郊の自治体も選択肢に入れておきたい。公的機関CAFが支給する**住宅手当(APL)は、家賃を月100200ユーロ(約1万8,6003万7,200円)下げてくれる可能性があり、正規の在留資格を持つ留学生も対象になり得るので、住居を確定させたら忘れずに申請しよう。医療は学生社会保障(Sécurité sociale étudiante)**を通じて加入手続きを行い(登録は無料)、CROUSの学生食堂なら1食3.30ユーロ(約610円)で、食費が家計を圧迫しすぎることもない。

パリ・シテ大学の卒業生は誰で、どこで働いているか?

パリ・シテ大学が育てるのは、何よりも医師、研究者、生命医科学の専門家、そしてR&D人材だ。これは大学のプロファイルから見て当然の結果だ—生命科学と医学の分野で世界トップクラスにあり、隣にパスツール研究所を擁する大学であれば、卒業生は生命医科学と理学の深い専門知識が求められる場所へ進んでいく。典型的なキャリアパスは、臨床・病院医療、博士課程からアカデミアへのキャリア、国立研究機関(CNRS、Inserm)での研究、そして製薬・バイオテクノロジー業界でのR&Dだ。

パリ・シテ大学の前身校が積み重ねてきた歴史も相当なものであり、医学の枠を超えて広がっている。旧パリの大学の卒業生には、2020年のゴンクール賞受賞作『異常事態(L’Anomalie)』の作家エルヴェ・ル・テリエ(パリ・ディドロ大学)や、2007年から2012年までフランス首相を務めた政治家フランソワ・フィヨン(パリ・デカルト大学)がいる。学術の世界では、パリ・ディドロとパリ・デカルトの系譜は、物理学、数学、医学における数十年にわたる基礎研究の歴史を持つ。そして提携機関であるパスツール研究所—HIVウイルスを発見したノーベル賞受賞者フランソワーズ・バレ=シヌシとリュック・モンタニエが在籍していた研究所—の存在が、この大学の生命医科学プロファイルをさらに強化している。学生にとってこれは、他人のブランド名の輝きではなく、最高水準の指導教員やセミナーへの実際のアクセスを意味する。

もう一つ、あまり知られていない強みがある。パリ・シテ大学の修士号は、ヨーロッパとアメリカ全域の博士課程への扉を開く。生物学、物理学、数学分野のフランスの研究系修士は、博士課程の選考委員会にとって強力なシグナルになる。多くの受験生は、パリ・シテ大学の英語開講修士を、博士課程(PhD)への足がかりとして位置づけている—フランス国内(フランスの博士課程は給与の出る研究職としての性格が強い)であれ、ドイツ、スイス、あるいはアメリカであれ。これは履歴書の1行ではなく、れっきとした研究キャリアの1つの道筋だ。

日本人として、卒業後の進路はどうなるか。非EU圏出身者として、フランスで働き続けるには、卒業後の求職・在留資格の手続きが必要になる。修士または博士号を取得した卒業生には、APS(Autorisation Provisoire de Séjour)という12か月間の求職・起業活動用の在留許可が付与され、この間に専門分野に合った職を探すことができる。フランス、あるいはヨーロッパ全域で医師、研究者、生命科学系の専門人材への需要は高く、APSの期間中に長期的な就労ビザへの切り替え(雇用主のスポンサーが必要)を目指すのが典型的な道筋になる。もちろん、学位を取得したあとに日本へ帰国し、その専門性を生かしてキャリアを積む道も十分に現実的だ。研究キャリアを本気で考えているなら、日本人のための世界大学ランキングガイドや、海外大学院(修士)留学ガイドもあわせてチェックしてほしい。

パリ・シテ大学の学費は、日本円に換算するといくらになるか?
パリ・シテ大学はフランスの国立大学であり、学費は国が定める法定額で、非常に低く抑えられている。2025/26年度の登録料は学部で178ユーロ、修士で254ユーロ、博士で397ユーロ、これに加えて必須のCVEC拠出金105ユーロがかかる(u-paris.fr、service-public.gouv.fr)。1ユーロ=約186円で換算すると、それぞれ年間およそ3万3,100円、4万7,200円、7万3,800円、CVECは約1万9,500円になる。日本はEU加盟国ではないため、本来は非EU圏向けの割増料金の対象になり得るが、パリ・シテ大学はこの差額を部分的に免除する方針を独自に取っており、多くの非EU圏の学生も国内料金で在籍できている。主な負担は学費ではなく、パリでの生活費(月1,000~1,500ユーロ)だ。
日本の高校卒業資格があれば、パリ・シテ大学で英語のプログラムに進学できるか?
学部(licence)段階では、大多数のプログラムがフランス語で開講されており、フランス語B2レベル(DELF/DALF)が必須になる。英語で学べる本格的なプログラムが揃うのは修士(master)以降で、パリ・シテ大学のカタログには理系・生命科学系を中心に数十の英語開講修士プログラムがある。つまり日本の高校を出たばかりの受験生には二つの道がある。一つはフランス語を身につけたうえで学部からフランス語で入学する道、もう一つは日本国内や英語圏の大学で学士号を取得したあとに、パリ・シテ大学の英語開講修士に出願する道だ。
パリ・シテ大学は何の分野で有名か?
何よりも医学、生命科学、そして研究力だ。パリ・シテ大学はヨーロッパ屈指の生命医科学系総合大学であり、3つの学部(保健、理学、人文社会科学)と、パスツール研究所やパリ地球物理学研究所といった最高峰の提携研究機関を擁する。QS 2026ランキングでは研究被引用スコアが100点満点中92.5点で、分野別ランキングでは生命科学・医学分野(#76)、医学(#80)、数学(#65)で世界トップクラスに位置している。アメリカ式の狭き門型の選抜ではなく、研究力で勝負する大学だ。
日本人にとって、パリ・シテ大学への出願はどのように進むか?
出願方法は学年レベルと国籍によって変わる。EU/EEA圏の受験生は学部1年目(L1)をParcoursupで、修士1年目(M1)をMon Master(2026年サイクルはおおむね2月~3月に出願開始)で申し込む。日本はEUに属さないため、学部への出願では東京のCampus France Japonを通じた「Études en France」手続きが必要になり、これがParcoursupへの出願と並行して進む。修士についてもMon Masterでの出願に加え、長期学生ビザ(VLS-TS)の取得手続きが必要だ。ビザ取得には、合格通知に加えて語学要件を満たしていることの証明が求められる。
パリ・シテ大学はソルボンヌと同じ大学か?
いいえ、違う。パリ・シテ大学は2019年に、パリ・デカルト大学(パリ第5大学)とパリ・ディドロ大学(パリ第7大学)、そしてパリ地球物理学研究所が統合して誕生した、独立した大学だ。2022年までは「Université de Paris」という名称だった。ソルボンヌ大学、パリ第1パンテオン=ソルボンヌ大学、あるいはソルボンヌ/PSLのクラスターとは別の組織である。これらの名称はすべて中世に遡るパリ大学という共通の遺産に由来しているが、現在はそれぞれ独立した大学だ。
パリ・シテ大学の医学部(PASS)合格の難易度はどれくらいか?
非常に高く、フランスで最も競争率の高い医学系コースのひとつだ。医学部1年目はPASS(Parcours d'Accès Spécifique Santé)と呼ばれ、Parcoursupを通じて出願するが、2年目に進める人数は地域ごとに定められた定員(numerus apertus)で厳しく制限されている。2025/26年度のパリ・シテ大学ではPASSの各専攻に数百人規模の定員が用意されているが、出願者数はその何倍にもなり、1年目を突破できるボーダーラインは非常に高い。フランスの中等教育を経ていない海外からの出願者がPASSに直接出願するケースは実際にはかなり限定的で、多くの場合はÉtudes en France経由での出願となり、フランス語C1レベルの高い語学力が事実上必須になる。生命科学や人文系の学部(保健系以外)では、選抜ははるかに緩やかだ。
日本の高校の成績で、パリ・シテ大学に現実的なチャンスはあるか?
はい、多くの学部で、フランスの国立大学は十分に現実的で到達可能な目標だ。合格率が5~10%台のアメリカの大学とは違い、選抜はプログラムごとの要件充足型で、科目要件、語学レベル、そして出願書類(dossier)が重視され、大学全体で一律に区切る合格ラインというものはない。例外は医学系(PASS)と一部の選抜性の高い英語開講修士で、ここでは競争が非常に激しくなる。とはいえ、これは実力に基づく選抜であり、しっかり準備すれば十分に対策可能だ。大学全体の「合格率〇%」という単純化された数字を鵜呑みにしないことが大切だ。
パリ・シテ大学の学費をカバーできる奨学金にはどのようなものがあるか?
最も重要なのは、フランス外務・欧州省が運営する政府奨学金プログラム「エッフェル奨学金(Eiffel Excellence Scholarship)」で、修士・博士課程の優秀な留学生が対象だ。これに加えて、大学独自の「SMARTS-UP」プログラムが修士レベルでの受け入れ留学生の移動を支援している。日本人学生は、日本学生支援機構(JASSO)の海外留学支援制度を活用できるほか、大学間協定に基づく交換留学であればJASSOの協定派遣制度も対象になり得る。フランスの学生福祉機構CROUSは、安価な学生寮や食堂、生活支援を提供しており、物価の高いパリでの家計を支える大きな柱になる。

日本からパリ・シテ大学に出願する価値はあるか?

ここまでの内容をまとめよう。パリ・シテ大学はヨーロッパでも屈指の研究力を持つ大学であり、医学、生命科学、理学系で世界クラスの実力を誇りながら、部分免除の対象になれば学費は年間数万円という規模で済む—数百万円ではない。加えてパリという立地、パリ・デカルトとパリ・ディドロの伝統、そしてパスツール研究所のような最高峰の提携機関がある。生物学、医学、化学、物理学に情熱を持つ日本の受験生にとって、これはヨーロッパ大陸に存在する最良のコストパフォーマンスの選択肢のひとつだ。

とはいえ、パリ・シテ大学が誰にでも合うわけではないことも正直に言っておきたい。フランス語ができないなら、学部からのルートは現実的にかなり厳しくなる—その場合の入り口は英語開講の修士になる。医学を夢見ているなら、PASSは非常に高い選抜と、優れたフランス語力を要求するマラソンだということを知っておく必要がある。ビジネスや社会科学を、大学名のブランド力を求めて志望しているなら、HECパリサイエンス・ポ、あるいはLSEのほうが適している。そして、アメリカ的な、一体感のある学生生活が濃密なキャンパスを求めているなら、パリ市内に分散したこの大学のキャンパス配置には物足りなさを感じるかもしれない。

もし一言でまとめてほしいと言われたら、こう答える—パリ・シテ大学は、生命医科学と理学系の学問を最高水準で追求したい人のための大学であり、しかも公立大学の料金で、しかも文字通り窓の外にパリが広がっている環境で、それができる場所だ。「生物学が好き」「医学に進みたい」「理系一筋」というはっきりした志向を持ち、語学に投資する覚悟があるか、あるいは修士進学を見据えて強い学士号を積み上げる覚悟がある人にとって、パリ・シテ大学はヨーロッパで下せる最良の決断のひとつになり得る。

次にすべきこと

まず語学試験の対策から着手しよう。それが進路そのものを左右するからだ。英語開講の修士を目指すなら、**College Council TOEFLアプリでAIフィードバック付きの本番形式の模試に取り組んでほしい。試験形式はTOEFL 2026完全ガイドにまとめている。SATが必要な大学も検討しているなら、College Council SATアプリ**とSAT試験ガイドから始めよう。次のステップは以下の通り。

  1. 学年レベルとルートを決める - 学部(Études en France+Parcoursup、フランス語B2)か、修士(Mon Master、多くは英語)か。
  2. 志望プログラムの要件を確認する - u-paris.frで開講言語と出願条件を必ず確認する。
  3. 日本の高校の成績を換算する - 成績換算ガイドを参考に。
  4. 奨学金を計画する - エッフェル奨学金、SMARTS-UP、エラスムス+ガイド、JASSO海外留学支援制度、ヨーロッパ留学の奨学金ガイド
  5. 合格後すぐに住居探しとビザ手続きを始める - パリでの部屋探しと学生ビザの取得は、パズルの中で最も難しいピースになる。

パリ・シテ大学を他の選択肢とも比較してみてほしい。ソルボンヌ大学とPSLパリ第1パンテオン=ソルボンヌ大学パリ・サクレー大学サイエンス・ポパリ理工学院(Institut Polytechnique de Paris)ENSパリ。そして全体像は海外留学 完全ガイドで押さえておこう。医学部を目指すなら海外医学部留学 完全ガイドから始めるのがおすすめだ。健闘を祈っている!

出典と方法論

本ガイドに掲載したすべての数値は、公式かつ日付の明記された情報源に基づいており、2026年6月時点で確認済みのものだ。登録料、CVEC拠出金、非EU圏学生への差別化登録料の部分免除方針、学生数・研究室数のデータは、パリ・シテ大学公式サイト(u-paris.fr)およびservice-public.gouv.frに基づく。総合順位はQS 2026、Times Higher Education 2026、ARWU 2024、US News 2025、分野別順位はQS Subject Rankings 2026による。プログラム数とその開講言語の内訳は、College CouncilのAtlasカノニカルレコードに基づく。制度は毎年の出願サイクルごとに変わり、学部・専攻ごとに差もあるため、出願前に必ず大学公式サイトで最新の出願期限、開講言語、出願要件を確認してほしい。円換算は1ユーロ=約186円(2026年7月時点の実勢レート、European Central Bank公表の参考レートをもとにしたCollege Councilの概算)で統一している。

  1. パリ・シテ大学 - Key figures(学生数約6万3,000人、教員研究者4,600人、研究室110以上、学部3つ)
  2. パリ・シテ大学 - Droits d’inscription / Tarifs / ExonérationsおよびCVEC(登録料、CVEC 105ユーロ、非EU圏学生への差別化登録料の部分免除、2025/26年度)
  3. Service-Public.gouv.fr - Coût d’une inscription dans l’enseignement supérieur(法定登録料178/254/397ユーロ、2025/26年度)
  4. パリ・シテ大学 - Scholarships(エッフェル奨学金、SMARTS-UP)
  5. QS World University Rankings 2026 - パリ・シテ大学プロフィール(総合#300、被引用スコア92.5、分野別2026: Life Sciences & Medicine #76、Medicine #80、Mathematics #65、Linguistics #75)
  6. Times Higher Education World University Rankings 2026(#190、学生数66,075人、留学生比率22%)
  7. ShanghaiRanking ARWU 2024(世界#60)およびUS News Best Global Universities 2025(#47)
  8. ParcoursupMon MasterCampus France - 出願手続き(EU圏・非EU圏それぞれの出願ルート、PASS/LAS)
  9. 日本学生支援機構(JASSO) 海外留学支援制度およびErasmus+(給付型奨学金、交換留学、資金支援)
  10. College Council Atlas - パリ・シテ大学のカノニカルHEIレコード(Wikidata Q55849612、ROR 05f82e368)および社内データ・アドバイザリー経験(2023-2025)

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